CASE 28 貿易金融プラットフォームの提供で国際取引業務をデジタル化するDLTLEDGERS。その日本法人の銀行口座開設をサポート

DLTLEDGERS JAPAN株式会社
取締役社長
サミール・ネジ 氏

DLTLEDGERS(ディーエルティーレジャーズ)は、2018年10月にシンガポールで設立された貿易金融におけるデジタルプラットフォームを提供するスタートアップです。

従来の国際的な貿易取引の現場は、書類とe-mailのやり取りが中心で時間とコストがかかることがかねてから問題視されていました。
同社は、こうした課題を解決するため、ブロックチェーン技術を活用したプラットフォームの提供によって、企業の国際取引やサプライチェーンのデジタル化を推進しています。
そして、このデジタル化により各種業務の効率化を図り、取引サイクルの時間短縮とコストの削減を実現するとともに、商材がいま、どこにあるのか、モノのトレーサビリティも容易にします。

DLTLEDGERSが創業したシンガポールは、国を挙げてデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速化させてきました。そうしたなかで同社はすでに、同国の金融庁、企業庁、情報開発庁、税関、港湾局、銀行連合と提携しております。また45以上の現地銀行が同社のプラットフォームを実運用中であり、貿易金融業務の適正化や安全性の向上を進めています。
拠点も現在、シンガポールをはじめ、UAE、インド、オーストラリア、ニュージーランドやアフリカ、中近東にも展開し、世界の銀行など30社以上(2021年7月現在)の顧客の、総額41億USドル(4,500億円)以上の取り引きにDLTLEDGERSのブロックチェーンシステムが採用されています。

このように、DLTLEDGERSのプラットフォームはすでに多くの顧客で実用化されており、それが同社の大きな強みとなっています。また、シンガポールの日系企業数社とも、取り引きのデジタル化推進についてすでにコンタクトを取り、商談が進んでいます。

そして、いよいよ2021年6月、DLTLEDGERSは東京都中央区に日本法人を設立、DX分野で追いつこうとしている日本市場に進出することとなりました。

ビジネスコンシェルジュ東京(BDCT)によるサポート

  • 日本法人の銀行口座開設のサポート

東京を拠点に選んだ理由

もともと日本は輸出入において世界でも有数の巨大なマーケットを形成しており、当社としても設立当初から進出を計画していました。
ところが、新型コロナウィルスの感染拡大により、日本市場への参入が思うように進まなくなってしまったのです。

とはいえ、日本進出は既定路線。コロナ禍にありながらも、パートナー企業の協力で日本市場の調査は着々と進めていました。その結果、すでに実運用されている当社レベルのプラットフォームをすぐに提供できる競合相手はまだ見当たらないとの感触を得て、日本進出への自信を深めました。

また、日本は世界的なDX推進の潮流について今なお発展途上であるのが現状です。当社は、DX推進の先進国であるシンガポールで創業し、急成長してきたため、その熱量の差を肌で感じます。
一方で、デジタル化に発展余地を残した日本は、当社にとっては大きなビジネスチャンスが広がっている国でもあります。当社のプラットフォームを利用いただくことで、少しでも日本企業のデジタル化推進、国際競争力の強化に貢献できれば、こんなに嬉しいことはありません。

そんな想いを抱き、2021年6月、満を持して日本法人を設立しました。

ビジネスコンシェルジュ東京を利用した感想

日本法人の設立に関しては、手続きに問題もなくスムーズに進みました。
ところが苦労することになったのが、銀行口座の開設でした。メガバンクをはじめ、ネットバンクまで当たりましたが、承諾を得ることはできませんでした。
CEOである私が海外在住であることや、何より登記上の住所がバーチャルオフィスであったことが各銀行の審査過程で断られる要因となってしまったようです。

困り果てていたところ、日本人相談役のツテでBDCTの存在を知り、相談してみることにしました。それが8月初旬のことです。つまり、1ヶ月余り銀行口座開設のために奔走したものの、徒労に終わっていたということです。
藁をもつかむ気持ちでBDCTに相談の電話をしたところ、2~3日して「紹介できる銀行があります」との連絡を受けました。その後、BDCTの手厚いサポートの下で、その銀行への口座開設に向けたプレゼンの機会をつくっていただき、事業計画の説明をさせていただきました。結果、無事口座開設となり、胸をなで下ろしました。

銀行口座が開設できなければビジネスは始められません。
BDCTのサポートで救われました。とても感謝しています。

今後のビジネス展開

日本法人設立以前からシンガポールの日系企業とは国際取引業務に関するデジタル化の話はさせていただいていたので、それをビジネスとしてきちんと立ち上げるのが一つの課題です。

また、すでに日本においても商社やメーカーなど数社とコンタクトを取っており、当社のプラットフォーム導入に向けた商談の動きは順調です。
当社のプラットフォームは世界の複数の国で多くの実用化の実績があるため、それが大きなアピールポイントになっています。

当社はシンガポールでの2018年の設立時、エンジニア1名からスタートしました。
それが現在はスタッフ90名に上るほど急成長しています。
そして、日本においても同様の急成長ができると確信しています。

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